『番茶菓子』『世界一ぜいたくな子育て』『<子供>の誕生』

今週、読んだ本は「番茶菓子」(幸田文 講談社文芸文庫)。着物に関する記述に大収穫あり。娘さんの青木玉さんが、母の着物の思い出を語った『幸田文の箪笥の引き出し』もよかった。

先日読んだ『世界一ぜいたくな子育て』(長坂道子 光文社新書)も興味深い本だった。産むからには、ちゃんと自覚的に産むという現代女性の出産と育児。女性としての魅力を損ないたくないおフランスの女性たちは育児や授乳はひとまかせの歴史が昔からある。肝っ玉かあさん的なひとが多いアジア女性との違いがよくわかった。 この本でも引用されていたが、フランスの歴史家フィリップ・アリエス『<子供>の誕生』(みすず書房)によれば、ーー現代においては、人間は大人になるまで長い子供期を通過しなければならない。しかし、ヨーロッパの中世においては、子供は「小さな大人」でしかなく、すぐに大人社会に入っていった。近代になってはじめて、家族と学校という私的および公的教育機関に長く隔離されて、子供は社会の中から排除されて存在することになったーーーという歴史がものがたるアリエスの子育て観も参考になる。