『美しい人』

私の好みから言えば,前作の方がよかったような気がする今回のロドリゴ・ガルシア作品。

前作とは『彼女を見ればわかること』。



今回の『美しい人』は9本からなる作品集的なものなので,
集中的に凝縮されたシーンを描くことを意識するあまり後味の悪さが尾を引く。それがこの監督の狙いかも。 
しかし、1晩経ってじわじわとこの作品のすごさがわかってきた。

たとえば、片方の靴が残されたモーテルのシーン。
それはもうシンデレラタイム、ご帰宅時間ですよ,というサイン。
つまり不倫前一歩で踏みとどまる夫の介護に疲れた妻の心情を象徴している小道具だったり、
見ていて気付かないことが他にもいっぱいあったことがわかった。

エッセンスだけを10数分で勝負する超短編は見る方が、試されているのだ。
見方が浅かったり、気付かなかったりが多くてちょっとショック。

  

2005/アメリカ/114分/エレファント・ピクチャー
監督:ロドリゴ・ガルシア
出演:ホリー・ハンターシシー・スペイセクグレン・クローズ

愛を注ぐ人、愛を見出す人、愛をぶつける人、弱さを知る人、かけがえのない人、愛を求められる人、歓びを知る人、夫の愛の深さを知る人、神の祝福を受ける人…。アメリカを代表する9人の女優による、9つの愛の物語。彼女たちの心の傷はやがて成熟し愛という果実になる。「美しい人」であるということを問いかける作品。(京都シネマのサイトより)